映画 トロイ／TROY 前編：誕生；後編：陥落（03米マルタ）
スパルタ王のもとにミケーネ王アガメムノンと弟メネラウスがやってくる．アガメムノンと王女の結婚のためだが，アガメムノンもメネラウスも末娘のヘレンの美しさに打たれた．しかし，その晩，ヘレンは「アテネの王」を名乗る男にさらわれた．「アテネの王」はまだ少女のヘレンがいつか大切な人に会う日までと思って大切に育て，ヘレンもそんな彼に愛情を抱くようになるのだった．
トロイ王に息子アレクサンドロスが誕生したとき，姉のカッサンドラは弟が生き延びればみなが死ぬと予言し，王はやむなく崖から突き落とすように命じる．しかし，不憫さから嬰児は崖の上に置き去りにされ，羊飼いによってパリスとして育てられた．青年になったパリスは（夢で？）三人の女神から一番美しい者を選べと言われ，アフロディーテを選んだところ，渡されたりんごの中にヘレンの姿を見るのだった．
トロイ王が催す競技会の賞品として大切な牛が奪われ，青年パリスはトロイに出向いて競技会に出場．貧弱な装備ながら勝ち進む．いよいよ無敵といわれる王子ヘクトルとの対戦になるが，パリスを見てカッサンドラは弟だと直感し，ヘクトルにパリスを殺すように言う．ヘクトルはパリスに合わせて防具を外し，短剣での勝負を挑むが，カッサンドラの叫びに気を取られた一瞬の隙をつかれ，のどもとに短剣を突きつけられた．育て親の羊飼いがパリスをくるんでいた布を差し出すと，パリスはトロイの王子として認められた．
ヘレンは「アテネの王」と幸せに過ごしていたが，ある日，スパルタで別れた兄が現われた．兄は「アテネの王」を殺すが，自らも瀕死の王に殺された．
王位継承者をなくしたスパルタに諸王が集まった．みなヘレンに惹かれていたが，指輪を放り投げて壺に近いものを夫に選び，他の者はそれに従うとした結果，メネラウスが選ばれた．
スパルタでメネラウスが王に即位することになり，トロイはパリスを使者として送ることにした．パリスがスパルタに着いたとき，メネラウスは妃ヘレンを全裸で諸王の前に立たせて披露していた．パリスは友好の親書を差し出したが，アガメムノンがそれを取り上げて燃やす．その場はメネラウスが兄に友人のふりをして城壁の防備を聞き出すべきだと耳打ちしてつくろった．
その晩，パリスは殺されるところだったが，ヘレンが挨拶を装って短剣を届けてくれて助かった．パリスはヘレンと別れを惜しんだあと船で脱出したが，運命の相手パリスとの別れに忍びないヘレンは水に飛び込んで船に乗った．
パリスがヘレンを連れ去ったと聞いたアガメムノンは即座にトロイに攻め込むことを決意した．艦隊を集めたものの一向に風に恵まれない．予言者に尋ねると，娘を自らの手でいけにえに差し出せばよいとのことで，アガメムノンはいとけない娘を呼び出していけにえとした．
いよいよギリシア連合艦隊の出港だった．
映画 トロイあらすじ～ヘレンとメネラウス～
ギリシア艦隊からはスパルタ王メネラウスとイタカ王オデュッセウスがトロイに使者としてやってきてヘレンの返還を要求した．トロイの長老会ではヘレンの返還が議論される．ヘレンはスパルタに戻るのが自分の義務だと申し出たが，王は自らヘレンに尋ねた．ヘレンがパリスを愛していると知り，またヘレンをメネラウスのもとに帰したところでアガメムノンはトロイの征服をあきらめはしないだろうと知ると，ヘレンを保護することに決めた．その条件として，スパルタを捨てる証に「トロイのヘレン」と名乗らせることにした．
ギリシア軍の攻勢ははね返したものの，カッサンドラは戦争は十年か続き，みなに災厄をもたらすと予言した．その狂気がかった様子にカッサンドラは地下牢に放り込まれることになった．
こうして十年がたった．ギリシア軍の間でも厭戦気分が広がっていた．そこでメネラウスとパリスの間で一騎打ちが提案され，勝った者がヘレンを手にする，また結果にかかわらずギリシア軍は兵を引くこととされた．
パリスとメネラウスは戦いながら見えにくい小路にはいっていく．アガメムノンはメネラウスの槍に毒を塗っており，致死性はないものの動きの鈍ったパリスは追いつめられた．しかし，メネラウスは毒のことを知ると，パリスのわきに座って語り合った．ヘレンを全裸にして披露したことも恥じていると言うメネラウスと，パリスは理解し合えたようだった．
しかし，二人の勝負がつかなかったと知ると，ヘクトルがアガメムノンに挑む．それをアキレスが受けて立つ．先に槍を投げろと背中を向けるアキレスにヘクトルがためらうと，アキレスは振り返りざまヘクトルの腹に槍を投げつけた．体のきかないパリスが身代わりになろうとするのもかなわず，ヘクトルは城壁の上の父母の眼前でとどめを刺され，遺体は戦車にくくりつけて連れ去られた．
ヘレンは地下牢のカッサンドラに会い，自分がアガメムノンに身を捧げればパリスは助かると言われ，町を抜け出す．しかし，アガメムノンは取り引きをするつもりはないとつっぱねた．衛兵からヘレンのことを聞いてギリシア軍陣地にやってきたパリスは戦車でヘクトルの遺体を引きずり回すアキレスを見て戦いを挑む．アキレスの戦車突撃をかわしたパリスは弓でその腱を射てしとめた．再会したパリスとヘレンは逃げ，パリスの身を案じてついてきていた衛兵が盾になって逃がそうとするが，路地で落ちついたところ，パリスはヘレンのあとをつけてきたアガメムノンの手にかかった．カッサンドラに話が違うとかけあったヘレンは，アガメムノンに身を任せなかったことを指摘されるのだった．
王子二人を失って悲しみに沈む城に，ギリシア軍撤退の報がもたらされた．そのあとには巨大な木馬が残されていた．焼き払おうかとも思ったトロイ王だったが，巨大すぎて城壁内に入れられまいとの声を聞き，城壁の一部を壊してまで運び込んだ．しかし，その中にはギリシア兵が潜んでおり，夜になると城門を開いてアガメムノンらを導き入れた．
トロイ王夫妻は殺され，ヘレンはメネラウスの目の前でアガメムノンに犯された．
勝者アガメムノンが浴室でくつろいでいると，ミケーネにいるはずの妻が現われた．妻は妹であるヘレンをいたわると，アガメムノンに娘に会いに来たと話しかけ，めった刺しにして殺した．
ヘレンがパリスが殺された現場で血のあとを見つめていると，メネラウスが声をかけた．ヘレンはメネラウスを愛することはできないと言いつつもついていくと言い，メネラウスもそれを受け入れるのだった．